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研究ポリシー
カーボンニュートラル(CN)化に向けて、ゼロカーボンエネルギーを活用したエネルギーシステム研究を通して社会への貢献を目指しております。
究極のCN技術として,能動的炭素循環システム(ACRES, Active Carbon Recycling Energy System)を提唱しACRES構築を目指しています。重要な要素技術となる二酸化炭素の資源化を研究しています。特に二酸化炭素から一酸化炭素への変換過程が最も重要であり、この変換むけの二酸化炭素電気分解の研究開発を行っています。
CN化にはエネルギー貯蔵も必要です。日本の最終エネルギー消費(13x1018 J)の内訳は電力1に対して熱が3です。量的に重要な熱の効率的な活用が必須です。そこで熱エネルギー貯蔵(蓄熱)の検討をしております。とくに蓄熱密度が高い化学蓄熱に着目し、化学蓄熱むけの高活性と高熱伝導性を有した材料開発、この材料を用いたケミカルヒートポンプシステムによる高温熱供給、冷熱供給を研究しております。
さらに水素エネルギーシステム向けには水素製造における、水素の効率的な分離を目指し、水素透過金属であるパラジウム合金の大幅な薄膜化による低コストで高効率な水素製造プロセスを開発しております。
これらの新たなエネルギー貯蔵、変換技術によりグローバルなCN社会実現を目指してメンバーが共になって研究を進めています。
[1] エネルギー白書2020、METI, Japan(2020)
https://www.enecho.meti.go.jp/about/whitepaper/2020html/2-1-1.html
研究テーマ
(1) 炭素循環エネルギーシステム(ACRES)
二酸化炭素を資源化し循環利用するエネルギーシステム。製鉄業などが応用先候補(図1)。ゼロカーボンエネルギーを利用することでカーボンニュートラル産業の創成が期待できる。鍵となる二酸化炭素(CO2)の資源化では最も重要となる一酸化炭素製造に注目している。固体酸化物電気分解解セル(SOEC)によるCO2分解・一酸化炭素製造の検討を進めている。大量のCO2分解に応じたSOECの大容量化のため、金属支持形SOEC(MS-SOEC)を独自に開発している(図2)。
図1 炭素循環エネルギーシステム、
図2 金属基板支持形固体酸化物電気分解セル
(2) 化学蓄熱とケミカルヒートポンプシステム
大量に排出されながら従来回収が困難である産業排熱などの未利用熱の貯蔵、有効利用のために化学蓄熱材料を開発している(図3)。この材料を用いた酸化カルシウム/水系の化学蓄熱性能を有したケミカルヒートポンプシステムを研究開発している。この他にも、各温度域に応じて各種反応系を提案し、新たな化学蓄熱材料を開発し、様々な温度域の未利用熱の回収と有効利用を検討している。再生可能エネルギーの不安定性に伴う余剰電力の蓄熱発電にも応用が検討されている。
図3 酸化カルシウム複合化学蓄熱材料
(3) 高効率水素透過膜
次世代エネルギーキャリアである水素の高効率製造に必要な水素透過膜を開発している。独自の逆ビルドアップ法により金属支持形パラジウム(Pd)合金膜を開発している(図4)。厚さが数10マイクロmの従来の展延式Pd合金膜に対して、Pd合金膜層を数マイクロmオーダーに大幅に薄くできる。かつ平板で積層できることで、低コスト、コンパクトかつ高効率な水素分離が実現可能である。
図4 金属支持形パラジウム合金水素透過膜